本記事では、機械学習とディープラーニングの違いについて解説する。
AIが世界を変えると叫ばれてから時間はしばらく経った。日頃の生活の中でも、喋るロボットや、タクシーの配車アプリ、AIによるチャットなどその存在を見る機会が増えてきた。
AI関連の用語としてよく耳にする「機械学習」と「ディープラーニング」であるが、それぞれどのような意味かご存知だろうか?今更聴けないこの「機械学習」と「ディープラーニング」の意味とそれぞれどのようなところで使われているのかを紹介する。
この記事を見ることで、AIとはどのようなものなのか、機械学習とはどのようなものなのか、ディープラーニングとはどのようなものなのか、さらに日頃の生活のどのようなところに役立っているのかがお分かり頂けるはずである。
ぜひ最後までご覧いただきたい。
Contents
AIとは何か
そもそもAIとはなんなのだろうか。
人工知能学会の定義によれば、AIとは「知的な機械、特に知的なコンピュータプログラムを作る科学と技術」とされている。しかし専門家の間でも定義は曖昧となっている。
人工知能はその働きによって大きく二つに分けられる。それは「特化型人工知能」と「汎用人工知能」である。
「特化型人工知能」とは一つの機能に特化した人工知能を指す。例えば、将棋や囲碁、チェスなどのゲームに特化した人工知能や画像から同じ人などを割り出す画像診断などがある。
現在の人工知能業界はこちらを推進するために研究が盛んに行われている。
「汎用人工知能」は私たちが想像するように人工知能である。与えられた情報から自分で考えて応用していくもので、ペッパーやドラえもんもその類に入ると考えられる。
こちらの研究が進むとシンギュラリティが起きると考えられている。シンギュラリティとは人工知能の知能が、人間の知能を越すことを指す。ある学者の考えでは2045年ごろシンギュラリティが起きると考えられている。
シンギュラリティが起きれば雇用形態などが大きく変化することが考えられている。
機械学習とディープラーニングの違い
ここまで紹介したAIであるが、AIは学習をする必要がある。例えばAとBをどのように判断するのかという学習である。この判断基準を人工知能で明確化しておかないと人工知能は判断することができない。
AIが学習する方法であるがよく耳にするものが2つある。
それが「機械学習」と「ディープラーニング」である。
どちらもAIが行う学習方法であるが、それぞれどのような学習方法なのだろうか。
まず「機械学習」を発展させたものが「ディープラーニング」である。
「機械学習」はAIに学習させるときに人間があらかじめどのような観点で対象を見れば良いのか指定する必要がある。例えばたくさんある果物からリンゴを指定する際は、赤くて、大きさはこれくらいで、丸くて…と言った具合である。
しかしこの人間が行った作業をAI自身が行うのがディープラーニングである。
ここまで聴くと全てディープラーニングでいいように感じるかもしれないが、それぞれ得意な分野がある。
それぞれの特徴をこれから紹介していく。
機械学習とは
AIの学習方法の一つ目は「機械学習」である。
機械学習は与えられたデータをもとにプログラム自身が学習する仕組みになっている。大まかに分けて3つの学習方法がある。それは「教師あり学習」「教師なし学習」「強化学習」である。
「教師あり学習」とは、問題とその問題の答えをセットで与えることで学習させることである。問題とそれに対する正しい正解を導き出す自分のアルゴリズムと正解のアルゴリズムを比較して、間違っているところをあぶり出す。この比較によって学習を進めるのである。このようにして自分のアルゴリズムの精度をどんどん高めていく。
「教師あり学習」は過去の事例から未来を予測することに優れている。
例えば、犬の画像とそれが犬の画像であると言う答えをたくさんコンピュータに学習させることで、別の犬の画像を見せた時に犬と判断させるというものがある。
「教師なし学習」とは、正解のないデータをたくさん与える学習方法である。この「教師なし学習」には正解がないので、AI自身がその法則性を導き出し出力するという特徴がある。この学習方法はトランザクションデータという種類のデータの活用に有効である。トランザクションデータとは取引の履歴のことで、いつ、誰に、どのようなものが、何個売れたのかと言ったものである。この「教師なし学習」の活用例は例えば、ショッピングサイトなどで、今までの購入履歴からユーザーが次に買いそうなものを予測してサイトに表示させると言うものがある。
「強化学習」とは、AI自身が膨大な試行錯誤を繰り返して、正解に近い回答や、最大の報酬を導くというものである。学習者、学習者をとりまく環境、学習者が行える行動の三つの要素により、AIが導く正解は変わる。この技術はロボット工学やナビゲーションなどでよく使われており、身近な例では囲碁や将棋をおこなうAIがこの方法を採用している。
ディープラーニングとは
ディープラーニングとはここまで紹介した「機械学習」をさらにアップデートしたもので、人間の神経の仕組みを真似た「ニューラルネットワーク」というモデルを使用している。
「ニューラルネットワーク」はデータが入力される入力層とデータを処理する中間層、結果を出力する出力層から成り立っている。
「強化学習」と大きく違うところはAI自身が目の付け所を学習してアップデートしていくところである。例えば2枚の画像の違いを判断する際に、機械学習ではどこに目をつけなければならないのか指定する必要があるが、ディープラーニングでは自らが目の付け所を学習し、どんどん賢くなっていく。
機械学習とディープラーニングの活用事例
ここまで「機械学習」や「ディープラーニング」が、どのようなものであるかを紹介してきたが、実際の生活の中ではどのようなところに使われているのか紹介する。
活用されたデータごとに「テキストデータ」「音声データ」「数値データ」「画像データ」に分けて紹介する。
まず、テキストデータはどのようにAIで活用されているのだろうか?
活用例の一つにSNSの分析がある。近年のSNSの広がりによりテキストデータは増えた。そのデータを活用する技術は今大きく進歩している。
医療分野ではSNSの投稿をもとに病気の症状を判断するシステムがある。あらかじめ、どのような内容がどのような症状を示すのかAIに学習させておき、そのデータをもとに対象のSNSを分析させる。この分析結果から症状を予測し予防や早期治療に役立てていくというシステムがある。
音声データ
音声データを活用したディープラーニングでは入力と出力が同じほぼ同時に行われる必要がある。よく利用される事例は同時翻訳ツールや音声検索、音声案内などがある。
また近年進んでいるのは、アップロードされた動画の音声データをもとにユーザーの検索上位を変換したり、オススメを表示したりする機能がある。
また会議中の議事を録音して文字に起こしたり、重要な発言を目立つようにしたりするツールも開発されている
数値データ
数値データは製造業などでよく利用されている。工場で製品を製造する際に、不良品やロスが生まれるタイミングを集計し、分析することでなるべく不良品が出ない、効率的な製造を目指すという活用例がある。
また、どの商品がどの時期に売れるのかをデータを取ることで集積し、無駄な製造が出ないようにまた在庫をうまく回せるように取り入れられている。
これらの研究はアメリカやドイツで盛んに研究が行われている。
画像データ
画像データがよく使われているのは自動車の自動運転である。自動車に搭載されたカメラから前方の車や歩行者、信号、標識などを識別し運転する仕組みである。
また農業の分野でも画像データが活用されている。
あらかじめ作物の画像を読み込ませておき、実、枝葉、茎などを学習させる。
作物を収穫する際に、画像から収穫に値するのか、枝はどこなのかなどを正確に認識することでロボットによる収穫が可能になる。
まとめ
ここまで「機械学習」と「ディープラーニング」の違いについて紹介してきた。どちらもAIの学習方法であり、「機械学習」を発展させたものが「ディープラーニング」である。
「機械学習」はその学習方法から3つに分けられる。それぞれ実生活でどのように使い分けられているのかがお分かりいただけたと思う。
また、機械学習をさらに発展させた「ディープラーニング」は人間の思考を模倣することにより多くのことが自分でできるようになった。「ディープラーニング」の精度はますます高まりもっと生活に浸透していくだろう。
また、それぞれが日常生活のどのようなところで活用されているのかを紹介した。今回紹介できた例はほんの一部であり実際にはもっと広く生活に生かされている。
今後も広がっていく「機械学習」と「ディープラーニング」から目が離せない。